軌跡と覚書

神学と文学を追いかけて

古典的ギャップ・セオリーへの反論

前回:ギャップ・セオリーの広まり

  • ディスペンセーション主義者による反論
  • 「若い地球説」を支持する創造論者による反論

ディスペンセーション主義者による反論

前回ご紹介したように、トマス・チャーマーズが説いたような古典的ギャップ・セオリーはG・H・ペンバー、C・I・スコフィールド、クラレンス・ラーキン、アルノ・ゲーベラインなどの影響力を持ったディスペンセーション主義者によっても広められました。

しかしながら、20世紀後半以降のディスペンセーション主義者の間では、ギャップ・セオリーに対する批判も多く見られるようになっていきました。たとえばダラス神学校の教師であったトーマス・コンスタブルは、自身の創世記研究ノートの中でギャップ・セオリーを取り上げ、この議論の根拠とされる主張を検証した後、次のように述べています。「多くの福音主義者は今なおギャップ・セオリーを唱えているが、そうしているヘブル語学者はほとんどいない。ヘブル語文法は1節と2節が時系列的に連続しているという読み方を支持しないからである。*1

*1:Thomas L. Constable, “Notes on Genesis,” 2021 ed., 27.

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創世記1:1–2のギャップ・セオリーについて

創世記1:1–2を解釈する上で、「ギャップ・セオリー」という見解があるのをご存じでしょうか。

これからしばらく、その「ギャップ・セオリー」という説を再考していくシリーズを続けていきたいと思います。

  • 前書き
  • ギャップ・セオリーとは何か
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契約から見た旧約聖書神学の新刊

The Words of the Covenant - A Biblical Theology: Volume 1 - Old Testament Expectation

ポール・マーティン・ヘネブリー(Paul Martin Henebury)氏の初めての単著となるThe Words of the Covenant: A Biblical Theology, Vol. 1 – Old Testament Expectation(契約のことば:聖書神学、第1巻─旧約聖書の希望)が出版されました*1。今回はそのご紹介です。

本書は「契約」という観点から聖書のストーリーラインを述べる包括的な聖書神学の本の第1巻で、主に旧約が扱われています。目次については、著者自身のブログの紹介記事の最後をご参照ください。

*1:Paul Martin Henebury, The Words of the Covenant: A Biblical Theology, Vol. 1 – Old Testament Expectation (Maitland, FL: Xulon Press, 2021).

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近況報告

どうも、ご無沙汰しております。

なんと1年半近く更新できておりませんでしたが、生きております。笑

仕事が忙しくなっていたのと教会での奉仕に割く時間が必要になり、中々ブログ更新にまで手が回せていませんでした。今も大して状況は変わりませんので、「聖書の物語と契約」シリーズを再開できるのもいつになるやら……という感じです。

今後は興味深い神学書のニュースをお分かちしたり、細々とですが更新は続けていきたいと思います。
そして、なるべく早く上記シリーズも再開させたいところです。

今なお時々こちらのブログに言及をいただいたり、コメントをいただいたりしているところで、感謝しております。
しかしながら、しっかりとしたレスポンスをする時間が割けず、コメント欄は閉じさせていただくことにしました。
既にコメントをいただきながらお返事できていない方々には大変申し訳ございませんが、ご理解いただきますようお願いいたします。

この後、今日か明日か、さっそく新刊書のご紹介なんぞをさせていただく予定です。

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。