クリスマスおめでとうございます! と言いながら、クリスマスと全く関係ない記事であれですけど。
今回は、今のところ千年期前再臨説(premillennialism)と患難期前携挙説(pretribulationism)に立っている筆者から見た、終末論と聖書預言に関するおすすめ参考文献をご紹介したいと思います。なんせ、この立場から……というより、このトピックに関して紹介されている参考文献一覧は、日本語サイトだと見かけないもので。あと、備忘録も兼ねてですね。
このブログを始めた目的のひとつは、せっかく英語文献から勉強できる恵みをいただいたものですから、それで学んだことを発信して還元していきたいな、というものでした。まだ全然できておりませんが、こうやっておすすめ文献の目録をつくることも、小さな還元になるのかなと思っております。
同じ立場の方々に対してもそうですし、違う立場の方々が千年期前再臨説、患難期前携挙説、非置換神学などについて調べるとき、参考になるものを提示したいと思っています。(というか、私自身、千年期後再臨説とか無千年期説とかに関する有益な参考文献リストが日本語でほしい……と常々思っているもので。)
まだ不十分な目録ですが、今後も逐次、地味〜に更新していきたいと思っております。
トピック
ここで紹介する事柄全般に係る参考文献
ミラード・J・エリクソン『キリスト教神学』第4巻、宇田進監修、森谷正志訳(いのちのことば社、2006年)
- 日本語で読める福音主義の組織神学書といえばまずはこれでしょう。終末論はこの巻で扱われている。なお、著者自身は千年期前再臨説・患難期後携挙説に立っている。
John MacArthur and Richard Mayhue, eds. Biblical Doctrine: A Systematic Summary of Bible Truth. Wheaton, IL: Crossway, 2017.
- 千年期前再臨説・患難期前携挙説に立つ米国Master’s Seminaryの教師陣らによる組織神学書。
Arnold G. Fruchtenbaum. The Footsteps of the Messiah: A Study of the Sequence of Prophetic Events. Revised edition. San Antonio, TX: Ariel Ministries, 2003.
- ディスペンセーション主義に立つメシアニック・ジューによる著書。この本を読んで疑問に思うところを調べ始めたのが、私の聖書預言に関する勉強の始まりでした。
明石清正『聖書預言の旅』(リバイバル新聞社、2002年)
- 私とほとんど同じ立場から、キリストの再臨に向かう創世記から黙示録に至るまでのストーリーラインを、分かりやすく解説している本。
- 専門的・神学的な議論は避けられている……といっても、中々詳しく、包括的に説明されているので、このテーマに取り組む上ではまずお勧めしたい本。
- 何より、キリストの再臨に関する聖書理解が信者の希望と生活に直結しているという視点が貫かれているのが素晴らしい。
Paul N. Benware. Understanding End Times Prophecy: A Comprehensive Approach. Revised edition. Chicago: Moody Publishers, 2006.
Charles C. Ryrie. Dispensationalism. Revised edition. Chicago: Moody Publishers, 1995.
- 千年期前再臨説・患難期前携挙説はディスペンセーション主義に特有な終末論ではないにしても、多くの点でディスペンセーション主義と聖書に対するアプローチを共有しているのは事実。だから、この神学的立場を理解することも大切だ。
- 本書は、修正ディスペンセーション主義(revised dispensationalism)の立場を明快に説明している。
D.Jeffrey Bingham and Glenn R. Kreider, eds. Dispensationalism and the History of Redemption: A Developing and Diverse Tradition. Chicago: Moody Publishers, 2015.
- Ryrie以降、漸進的ディスペンセーション主義(progressive dispensationalism)の主張もふまえて、近年の代表的なディスペンセーション主義者たちが自らの立場を解説している本。
- これまでの議論をふまえたディスペンセーション主義の定義や解釈論、それからこの立場から見た贖罪史の概説を扱っている章もある。
Eugene H. Merrill, Mark F. Rooker, and Michael A. Grisanti. The World and the Word: An Introduction to the Old Testament. Nashville, TN: B&H, 2011.
- 聖書預言の学びは、多くの領域を旧約聖書研究に負っている。なので、旧約概論的な本も非常に役に立つ。そういう分野の本では、まずはこれを開くことが多い。
Roy B. Zuck and Eugene H. Merrill, eds. A Biblical Theology of the Old Testament. Chicago: Moody Publishers, 1991.
W・ブルッゲマン『旧約聖書神学用語辞典 響き合う信仰』小友聡・左近豊監訳(日本キリスト教団出版局、2015年)
- 著者は福音主義者ではないが、旧約に見られる概念やその背景を勉強するためにとても有益な本。
George Eldon Ladd. A Theology of the New Testament. Revised edition. Edited by Donald A. Hagner. Grand Rapids, MI: Eerdmans, 1993.
- といっても、やっぱり新約概論的な本も重要でしょう。Laddは患難後携挙主義者だが、素晴らしい新約学者であることには変わりない。
Roy B. Zuck and Darrell L. Bock, eds. A Biblical Theology of the New Testament. Chicago: Moody Publishers, 1994.
John F. Walvoord and Roy B. Zuck, eds. The Bible Knowledge Commentary: An Exposition of the Scriptures by Dallas Seminary Faculty, Old Testament. Victor Books, 1985.
- ディスペンセーション主義に立つダラス神学校教授陣(当時)による注解書。↓はその新約編。
__________. The Bible Knowledge Commentary: An Exposition of the Scriptures by Dallas Seminary Faculty, New Testament. Victor Books, 1983.
Michael Rydelnik and Michael Vanlaningham, eds. The Moody Bible Commentary. Chicago: Moody Publishers, 2014.
- これもディスペンセーション主義に立つ、ムーディー聖書学院の教師陣による注解書。分かりやすい。1冊にまとまってるし。
G.K. Beale and D.A. Carson, eds. Commentary on the New Testament Use of the Old Testament. Grand Rapids, MI: Baker Academic, 2007.
- この分野の学びでは、新約の著者たちがどのように旧約を理解していたか、という点が重要になってくる。その点に特化した注解書。
John H. Walton and Craig S. Keener, eds. NIV Cultural Backgrounds Study Bible. Grand Rapids, MI: Zondervan, 2016.
- 聖句の歴史的文化的背景を調べようと思ったらまず開く注解書。
宇田進・富井悠夫・宮村武夫共編『新実用聖書注解』(いのちのことば社、2008年)
- 日本の福音主義者たちによる、1冊にまとめられた注解書。
解釈論
どんなことでもそうですが、このトピックを学ぶときでも、まずは聖書研究から始めることが必要です。……が、聖書研究を進める上でひとつ大切になってくるのが聖書解釈論。おすすめ文献目録は以下の記事から。
千年王国論と携挙論
基本的に千年期前再臨説や患難期前携挙説の観点からの文献が多いですが、ちょっとは違う立場の文献もご紹介しています。おすすめ文献目録は以下の記事から。
イスラエル論
聖書預言や終末論の学びは旧約聖書に負っている部分が大変多いのですが、そうなると「イスラエル」をどう考えるかということが決定的になってきます。イスラエル論に関するおすすめ文献目録は以下の記事から。
終末預言
その他、エゼキエル書38–39章における「マゴグの地のゴグによるイスラエル侵攻」、ダニエル書9:24–27の「七十週の預言」など、預言書の学びで議論になることが多い事柄について、おすすめ文献をご紹介しています。