軌跡と覚書

神学と文学を追いかけて

「神の御国」がテーマのMike Vlachの新著"He Will Reign Forever"が出版されました

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実はブログに残しておきたいテーマがいくつかあって、アウトラインとかまでは残しているのですが、中々記事にできていません。
「聖書における『イスラエル』の意味(8)ガラテヤ人への手紙6:16について」もまだですし、他にも細かいネタが色々あるのですが…

さて、ブログの説明文に「キリスト教(神学)に関する……情報などをメインにまとめていきたいと思います」などと書きつつ、中々そんな記事は書けていませんでした。(FruchtenbaumのYeshuaを紹介したくらいでしょうか?)
ここ2年ほど追いかけているアメリカの神学者Michael J. Vlachが新著を出版されまして、せっかくですのでここでご紹介したいと思います。

mikevlach.blogspot.jp

米国Master’s Seminaryの神学教授であるMichael J. Vlach博士が、Lampion Pressより新著He Will Reign Forever: A Biblical Theology of the Kingdom of Godを出版されました。

http://lampionpress.com/product/he-will-reign-forever/

題名が表しているように、「神の御国」に関する聖書神学を扱った本となっているようです。
記事の冒頭に掲載したご本人のブログでは、本書が次のように紹介されています(以下、超適当な和訳)。

この本は640ページにもなる。創世記1章から黙示録22章まで貫いている神の御国 the kingdom of God に関する聖書神学書だ。それに、神の御国に関係している重要な解釈学的&神学的問題も扱っている。

本の中で私は、「神の御国は聖書のテーマであり、御国に関する適切な理解をする者は、聖書の物語を適切につかんでいるのだ」と主張している。

この研究は、歴史を通して展開され、将来の地上的な千年王国まで達する神の御国の計画を提示している。この千年王国は、人が[神が望まれる通りに]地上の支配に成功するための、創世記1:26–28で人類に与えられた権限の成就なんだ。この本は最後のアダムとして&メシアとしてのイエスの役割、そして神の計画におけるイスラエル民族の役割を真剣に受け止めている。

時々神の御国に関する他の見解にも言及しているけど、この本は基本的には、千年期前再臨説・ディスペンセーション主義の視点から積極的に神の御国というテーマをプレゼンしているよ。

Vlach博士の著書は本ブログでも頻繁に引用させてもらっています。私が初めて出会った彼の本は、Has the Church Replaced Israel? A Theological Evaluation (Nashville, TN: B&H Publishing, 2010)でした。この本は「置換神学」を批判的に考察し、「非置換神学」を積極的に提示している神学書です。何よりも嬉しかったのが、「置換神学」「非置換神学」の双方の側からバランスよく文献を参照し、その上で議論が展開されているという姿勢。攻撃的でなく、独断的でなく、「建設的」なこの本は、FruchtenbaumのIsraelology: The Missing Link in Systematic Theologyと共に愛読書の一冊になっています。

彼は他にも、ディスペンセーション主義を適切に紹介しているDispensationalism: Essential Beliefs and Common Myths (Los Angels: Theological Studies Press, 2010)、本書の入門版?とも言うべき千年期前再臨説を扱ったPremillennialism: Why There Must Be a Future Earthly Kingdom of Jesus (Los Angels: Theological Studies Press, 2015)などを執筆しています。いずれもおすすめです。

また、Master’s Seminaryの出版物The Master’s Seminary Journal (MSJ)にも数本の論文が掲載されています。ありがたいことに、MSJは論文部分がなんと無料で公開されています!

Vlach博士の著作ではとても明瞭に、かつ、しっかりと聖句に基づいたロジックが展開されています。そんな彼が千年王国というテーマについて640ページにも渡る本を書かれたということで、とても期待しています。

最後に、ゴードン・コンウェル神学校の名誉学長であるWalter C. Kaiser博士による推薦文を、またまた超適当な和訳にて引用しておきたいと思います。

Michael Vlachの新著He Will Reign Forever: A Biblical Theology of the Kingdom of Godが提供しているのは神の御国に関する最も素晴らしい主張のひとつだということに、間違いはない。私はこの本を読んでいくごとに、その分かりやすい釈義と綿密な神学的論理を気に入っていった。この研究を推薦できるのが本当に嬉しい。この本は確かに、今日の私たちにとってとても必要とされているトピックにおける最高水準のひとつなのだから。本書はきっと神の御国に関する議論をまったく新しいレベルへと進め、私たちの時代の古典となるだろう。私は、神の御言葉を愛し、主がすぐに現れてくださることを望む全ての人に、この本を心から推薦しよう。

余談ですが、Vlachっていう名前、未だに発音が分かりません…
(ちなみに昨年のフルクテンバウム博士セミナーでVlachが引用されていたので、英語の出来る姉妹に、フルクテンバウムさんに発音を聞いてもらいました。彼は「フラッチ」と発音してましたが…それが正解なのかな?)