軌跡と覚書

神学と文学を追いかけて

聖書の物語と契約(14)契約違反としてのメシア拒否

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前回:すべての成就をもたらすメシア

 ナザレのイエスは、自らこそ預言者たちが宣べ伝え、民が待ち望んできたメシアであることを宣言した。しかし、歴史が伝えているように、イエスは民に拒絶され、十字架刑に処せられることになる。

  • メシアを拒否したイスラエル
    • ヨハネ福音書序文
    • ナザレの会堂での拒否
    • 群衆と指導者
    • 永遠の罪
  • 契約違反としてのメシア拒否
  • 契約に基づくさばき
  • 回復の希望とメシアの受難
    • イスラエルの希望としての「残りの者」
    • 新しい契約と十字架
    • エスの受難予告
  • 民のメシア拒否とメシアによる贖い
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聖書の物語と契約(13)すべての成就をもたらすメシア

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前回:メシアとイザヤ書61章

 イエスがおそらく公生涯の前半に語られた教えの中で、メシアと契約の成就という視点から無視することができないのが、いわゆる「山上の説教」である。ここでは、特に説教の序盤で語られた「八福の教え」(マタ5:3–12)と「律法や預言書」に関する教え(5:17–18)に注目したい。

  • 山上の説教
  • 八福の教え
    • 八福の教えと御国の祝福
    • 八福の教えとイザヤ書61章
    • 第3の幸いについて
  • 律法や預言者に関する教え
    • 旧約聖書の成就
    • メシアの従順と旧約の成就
  • 結論
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聖書の物語と契約(12)メシアとイザヤ書61章

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前回:近づいた神の国

 イエスは、預言者たちが宣べ伝えていた神の王国が実現しようとしていることを告げ、その王国を受け入れるために神に立ち返るようにとイスラエルの民に命じられた。

 イエスは、誕生の前にダビデの子/メシアであると告げられ、またそう期待されていただけではない。彼自身が、自らが王国をもたらすイスラエルのメシアであると自覚していた。そして、自らにおいてイスラエルの希望が実現することを、自ら民に宣べ伝えたのである。

 今回は、イエスがナザレの会堂で語られたメッセージ(ルカ4:18–19)から、イエスイザヤ書61章の預言と深く関わっておられることを見て行こう。

  • ナザレでのメッセージ
  • イザヤ書61章について
  • エスイザヤ書引用とメシア宣言
  • メシアの奇跡と新しい契約の祝福
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聖書の物語と契約(11)近づいた神の国

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前回:メシアの誕生と諸契約の成就

 ナザレのイエスの誕生は、諸契約が指し示していたメシアの到来そのものであり、聖書の物語が最終段階へ進むための決定的な出来事だった。

 しかし、福音書の著者たちは、イエスの誕生そのものや幼年期の記録よりも、イエスご自身の教えと行動に注目している。よって、私たちもまた、メシアであるイエスご自身の教え──特に公生涯の初期に語られたと思われる教え──から、イエスの到来がいかに決定的なものであったかを見て行くことにしたい。

  • ヨハネとイエスのメッセージ
  • 天の御国/神の国について
    • 「御国」および「国」について
    • 「御国」とメシアの王国
    • 「天の御国」と「神の国
  • 「近づいた」神の国
  • 悔い改めの呼びかけ
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