読書録
2019年も残り十数時間。読者の皆様には大変お世話になりました。 締め括りは、今年読んだ中で印象的だった10冊をご紹介したいと思います。 「聖書の物語と契約」シリーズは、年明けから再開予定です。 そろそろ原稿ストックが尽きそうなので、お休み中にある…
本ブログでは終末論についても度々取り上げているのでお察しいただけるかと思うが、聖書の中でも「ヨハネの黙示録」は前から関心を寄せている書のひとつである。持っている文献の中でも、黙示録に関係している文献の占める割合はかなり多い。 今回は最近読ん…
遠藤周作に『走馬燈─その人たちの人生─』というエッセイ集がある。裏表紙には次のような紹介文が添えられている。 日本人として初めてエルサレムを訪れたペドロ岐部、贋の大使として渡欧し、ローマ法王に謁見した支倉常長、そして多くの名もない殉教者たち──…
はじめに 兼子氏の『深い河』論 兼子氏の『死海のほとり』論 無力なイエスとその復活 遠藤的〈母なるイエス〉像を巡る問題 荒野の宗教から愛の宗教へのシフト 理解されなかった遠藤文学 おわりに この2018年10月に出版された兼子盾夫『遠藤周作による象徴と…
遠藤周作に「札の辻」という短編があります。初出は『新潮』1963年11月号で、1965年の短編集『哀歌』にも収録されています。『哀歌』というと、著者の入院生活の影響を受けた作品やキリシタン物が中心的に収録されており、それぞれが代表作『沈黙』への道備…
高崎哲郎『〈評伝〉技師 青山士 その精神の軌跡──万象ニ天意ヲ覚ル者ハ……』(鹿島出版会、2008年) これまで読んだ本を取り上げて、その本にまつわる思い出を書き連ねていくこのシリーズ。2ヶ月以上ぶりの更新で取り上げたいのは、クリスチャンの土木技師と…
Arnold G. Fruchtenbaum. Israelology: The Missing Link in Systematic Theology. Revised edition. Tustin, CA: Ariel Ministries, 1992.*1 これまでに読んだ本を取り上げて、その本にまつわる思い出を書き連ねていくこのシリーズ。久々に再開して扱いたい…
「メシアニック・ジュー運動」(Messianic Jewish Movement)はキリスト教界全体をリードする運動ではない。しかし、キリスト教界において「メシアニック・ジュー」たちの存在感は日に日に大きくなっている。近年では聖書神学の分野における彼らの貢献も目立…
"Reading Moses - Seeing Jesus" (Book) 本ブログでは以前「イスラエルにとって本当に必要なもの」と題して、ONE FOR ISRAELメディア宣教部門ディレクターであるエイタン・バール(Eitan Bar)氏の記事をご紹介しました。ONE FOR ISRAELはイスラエルに拠点を…
前回、前々回の記事で2017年分は締め括りにしようと思っていたのですが、今夜が思っていた以上に暇で、かつ大掃除をする気力も起こらず(夜中だしね、掃除機とかうるさくて迷惑だから!)。 で、前回の記事で問題にしたことに取り組み始めようかと本棚を物色…
2017年もあっという間にクリスマスが過ぎ、気づけば本当に残り僅かとなりました。今年考えたことは今年のうちに言葉にしておいて、来年考えるテーマとしたい。そんなことを考えつつ、思い出すのはやっぱり聖書と文学を学ぶ中で浮かんできた問題。文学につい…
クリスマスおめでとうございます! と言いながら、クリスマスと全く関係ない記事であれですけど。 今回は、今のところ千年期前再臨説(premillennialism)と患難期前携挙説(pretribulationism)に立っている筆者から見た、終末論と聖書預言に関するおすすめ…
トピック エゼキエル書38–39章 七十週の預言(ダニエル書9章24–27節) その他終末預言関係
Arnold G. Fruchtenbaum. Israelology: The Missing Link in Systematic Theology. Revised edition. Tustin, CA: Ariel Ministries, 1992. Michael Vlach曰く、「イスラエルの過去、現在、将来を扱った出版物の中では最高の本」。 John H. Sailhamer. The P…
Gleason L. Archer, Jr., ed. Three Views on the Rapture: Pre-, Mid-, or Post-Tribulation. Grand Rapids, MI: Zondervan, 1996[1984]. 安心と信頼の実績、ZondervanのCounterpointsシリーズ! Alan Hultberg, ed. Three Views on the Rapture: Pretribul…
John MacArthur and Richard Mayhue, eds. Christ’s Prophetic Plans: A Futuristic Premillennial Primer. Chicago: Moody Publishers, 2012. 千年期前再臨説といっても、この立場の間では歴史的千年期前再臨説(Historic Pre-millennialism)とディスペン…
聖書神学舎教師会編『聖書信仰とその諸問題』(いのちのことば社、2017年) 福音主義の保守的聖書信仰(いわゆる聖書の「無誤性」を信じる立場)の再主張となっている本。 D.A. Carson, ed. The Enduring Authority of the Christian Scriptures. Grand Rapi…
こんなブログでも、閲覧してくださる方々がいらっしゃるのは、本当に有り難いことだ。当ブログのアクセス解析を覗いてみると、最もアクセス数が多いのは「遠藤周作の『沈黙』について」で、その後にはイスラエル、聖書信仰、ディスペンセーション主義に関す…
正宗白鳥『内村鑑三・我が生涯と文学』(講談社、1994年) この前は若きキリスト者学生会主事らによる『生き方の問題なんだ。』を取り上げたが、訳あって正宗白鳥という作家の紹介から記事を始めた。最後の方でも白鳥に言及した。そうした訳のひとつは、白鳥…
大嶋重徳・桑島みくに・佐藤勇・吉村直人『生き方の問題なんだ。』(いのちのことば社、2017年) 今はもうあまり読まれなくなっているのかもしれないが、正宗白鳥という作家がいる。小説家でもあったが、むしろ批評家・評論家としての評価が高い作家である。…
私の地元である群馬県には「上毛かるた」という郷土かるたがある。このかるたの読み句を見ていくと、内村鑑三と新島襄という、明治期の有名なクリスチャンが2人登場している。試しに、群馬出身のクリスチャンに「上毛かるたの『こ』って何?」「『へ』って何…
遠藤周作『狐狸庵読書術』(河出文庫、2007年) この間、友人たちと「何か熱中できる趣味があるか」という話題で盛り上がった。自分について考えてみると、たとえばギターを弾くことが好きだが、最近は中々取り組めていない。手をつければ必ず熱中できるとい…
ドストエフスキー『悪霊』上下巻、江川卓訳(新潮文庫、2004年改版) 前回、文学の勉強から学ぼうとしていることは、組織神学の「人間論」や「罪論」と関係しているのだと書いた。明治から昭和にかけての幾つかの文芸作品は、著者が信者ではないにしてもキリ…
正直言って、最近はブログ記事の「ネタ」がない。いや、勉強しているテーマは色々とあるが、まだ記事を書けるほど呑み込むことができていない。しかし、折角はてなブログのアカウントまで作ったのだから、このままではもったいない。では、日記につけている…